9世紀頃のエジプトでつくられたコプト織。コプト教徒によりつくられた織物を「コプト織」と総称する。本作には植物文様が表されている。赤と緑を基調としたその色彩は、古代エジプト時代の彩色木棺に施された極彩色の色遣いを彷彿とされる。コプト教徒が先祖である古代エジプト人の伝統とDNA...

12世紀頃につくられたイスラームのオイルランプ。アフガニスタンのマザーリ・シャリーフで出土した。家庭用品として生産された土製ランプ。電気がない当時、ランプは生活必需品だったため、型により安価で大量生産された。中には貴族向けに文様や図像を表して付加価値をつけ、高額で販売される...

一角獣を刻んだ正方形の印章。前2600年〜前1800年頃に栄えたインダス文明の時代につくられた印章を「インダス式印章」と総称する。滑石を素材とし、動物文様と共に謎の文字を刻んでいる。この文字は便宜上「インダス文字」と呼ばれている。研究者によっては、これは言語を表記した文字で...

シチリア島のシラクサで、前214〜前212年頃に発行された12リトラ銀貨。表面にアテナ、裏面にアルテミスと猟犬を描いている。アテナの肖像は写実的な女性像で、装飾品が細やかに描かれ、髪の毛の質感まで伝わってくる。アルテミスの全身像も目を奪う素晴らしい完成度である。頭頂から爪先...

イランの高原地帯ルリスタン地方から出土した青銅製の山羊形ピン。ルリスタンでは、山岳の傾斜に形成された集合墳墓から美麗な形状の副葬品が出土する。調査隊による発掘以前に激しい盗掘に遭ったこと、また文字資料が乏しいことから、彼らの歴史は判然としない。ルリスタン青銅器が有名で、奇怪...

シチリア島のパノルモスで前405〜前390年頃に発行された4ドラクマ銀貨。パノルモスはフェニキア人の植民都市だったが、最終的にはローマに制圧され、その支配下に入る。その後、ローマは同じくフェニキア人の植民都市カルタゴ（現在のチュニジアに存在した古都）にまで進出し、破壊の限り...

三葉口が特徴的なガラス製水注。オイノコエとも呼ばれる。古代ギリシアでは酒器として好まれ、器面にギリシア神話等の一場面を表した土器が生産された。ギリシア人の文化を継承したローマ人もこの形状を好み、イスラームにまでも伝播した。...

パキスタンのバローチスターン地方で出土した幾何学文円筒壺。バローチスターンとは、「バローチ族の土地」を意味するパキスタン西部に位置する乾燥地帯。古くから高度な文明が栄え、東のインド、西のイランを繋ぐ十字路として重要な役割を果たしてきた。...